NO.6 GPS電子基準点座標値(測地成果2000)の精度と確度について
この事について、次に、1998年2月国土地理院HPよりできるだけ原文のまま紹介します。
電子基準点座標値1997の確度および精度
電子基準点座標値計算の際の標準偏差(1δ)は、水平2mm、鉛直10mmです。一方、
VLBI点6点との比較では、較差の最大値が水平3cm、鉛直6cmです。また、ITRF94系の
精度は約3cmです。これらを総合して、Epoch1997.0における電子基準点座標値の確
度は、水平約4cm、鉛直約7cmと言うことができます。
電子基準点の座標値について
GPS電子基準点の役割は2つあります。地殻変動測定と測量の基準点です。地殻変動測
定では、座標の変化だけを問題にするので座標系、初期座標値、解析法、解析条件がた
とえ正しくなくても、毎回同じ条件にしさえすれば、座標差(つまり変動量)を計算するとき
に系統誤差は消去されるので、正しい変動量が得られます。一方、後者の場合には、これ
らすべての条件に注意を払わなければ系統誤差が残ってしまい正しい基準点座標値を得
ることは出来ません。この場合、系統誤差があっても、座標の標準偏差は小さいままなの
で、標準偏差だけから座標値が正しいかどうか知ることは出来ません。この座標値の精
度は高いが 確度は低いことになります。
以上のように、電子基準点の座標には、地殻変動用と基準点用の2通りあります。
中略
以上の説明で、座標値そのものが正しいのは、基準点用の座標値であることは理解
していただけたと思います。
地球重心座標系で表した基準点用としての電子基準点の座標値
「電子基準点座標値1997」
座標系、初期座標値、解析法、解析条件等の全ての条件に注意を払いながら、基線解
析や網平均、座標変換を行い、決定された基準点用の座標値「電子基準点座標値1997」
は、国際VLBIネットワーク観測点との座標結合により最高精度の地球基準座標系ITRF
94系に基づいたものです。計算の過程で、電子基準点のみの網平均計算結果と3つの
VLBI点を固定した場合の座標値が整合したことを確認した上で、正しい基準点座標値が
計算されました。座標値のEpochは、1997.0です。
以下省略
以下は私見です。測地成果2000(電子基準点座標値1997)において
電子基準点の位置誤差(3δ)は、水平60mm、鉛直150mmということは公知の事実です。
ですから、(結論)確度というのは、標準偏差の約2倍(2δ)と言うことになります。
しかしお気ずきのように、電子基準点は地殻変動監視の目的もあり、自身の位置の変動
をも捕らえていますから、座標値が計算されてすでに7年あまり経過し、電子基準点の相
対位置にもズレが出てきます。このズレが大きくなれば、測量の精度にも影響があると思
われますが、現在のところ問題なしとします。 2003.5.23
なおこの点について、関連するNO.8(次ページ)を参照下さい。 2003.6.17